「海軍史は、自らを一般史に結びつけると同時に、個別分野の専門研究のための手法を改善し、訂正・修正された新しいモデルとして再登場する必要がある」（ジョン・Ｂ・ハッテンドルフ『海軍史を研究する』、1995年）。

1990年代以来、イギリス・アメリカにおける海軍史研究は「黄金時代」「ルネッサンス」を迎えたと言われています。海軍に関する科学的研究は19世紀の近代歴史学の発展に並行して展開してきたにもかかわらず、特にイギリスでは第一次大戦以後、学術的研究の対象と見なされなくなりました。しかし、ようやく近年、海に対する一般の関心の高まりと軍事史の再興と時を同じくして、再び海軍史研究が盛んになってきました。

このように再興した海軍史研究は、新しい研究者を取り込んできました。もはや海軍史＝海戦の歴史ではなく、海軍という組織を大きな歴史的文脈に位置づけ様々な視角を用いて分析する研究も登場しています。冒頭に挙げた一文は、海軍史の「ルネッサンス」の背景にある、近年の研究者の問題意識をよく反映しています。

現状では「海軍史とは何か」という問いへの答えはありませんが、逆に大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。当サイトでは、そんな研究動向の中に身をおきながら、日本での海軍史研究の可能性を追求している私自身の研究を紹介していきます。

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